資金調達

仕入れ値が毎月上がる|「いつまで続くのか」と不安な中小企業経営者が今やるべき3つのこと

先月の仕入れ伝票を見返す。「また上がっている」。先々月も上がっていた。その前の月も。半年間、毎月少しずつ、しかし確実に、仕入れ値は上がり続けている。

「いつまで続くんだ、これは」。

夜、布団の中でスマホを開く。「原材料 高騰 いつまで」「ナフサ 価格 見通し」と検索する。しかし出てくるのは「不透明」「予断を許さない」といった曖昧な言葉ばかり。答えが見つからないまま朝を迎え、また仕入先からの値上げ通知に向き合う。

この記事は「いつまで続くのか」という問いに対して、正直に答えます。そして、その答えを踏まえた上で「今やるべき3つのこと」を具体的に伝えます。

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正直に答える:ナフサ・原材料の高騰は「いつまで続くのか」

「いつ元に戻るか」は誰にもわかりません。しかし、構造的な要因を見ると「以前の水準に戻る可能性は低い」というのが現時点での見方です。

構造要因1:脱炭素政策による供給構造の変化。世界的な脱炭素の流れの中で、石油精製への新規投資が抑制されている。既存の設備は老朽化が進む。供給能力が徐々に縮小する一方、石油化学製品の需要は短期間では減少しない。

構造要因2:地政学リスクの長期化。中東情勢の不安定、ロシア・ウクライナ問題。これらは「いつ解決するか」が見通せない問題であり、原油・ナフサの供給不安は慢性化する可能性がある。

構造要因3:円安の定着。日米の金利差が縮小しない限り、円安傾向は続く。ドル建ての原材料を円で購入するコストは、円安が続く限り高止まりする。

構造要因4:人件費の上昇。原材料だけでなく、物流コスト、人件費も上昇している。これらは「一時的に上がって元に戻る」類のコストではなく、一度上がると下がりにくい構造。

つまり「いつか元に戻る」のを待つ戦略は、極めてリスクが高い。「コストが上がった状態が続く」ことを前提にした経営に転換する必要があります。

今やるべきこと1:コスト上昇を「前提」にした価格体系に切り替える

「元に戻ったら下げる」のではなく「今の原価に基づいた適正価格」を設定してください。

具体的な方法。現在の原材料費を反映した原価計算をやり直す。半年前、1年前の原価で計算した見積もりは、もう使えない。新しい原価に基づいた販売価格を設定する。取引先に価格改定を通知する。仕入先からの値上げ通知書をエビデンスとして添付する。

「値上げしたら取引先が離れる」という恐怖は理解できます。しかし、取引先も同じ状況に置かれています。あなたの仕入れ先が値上げしているように、取引先の他の仕入れ先も値上げしているはずです。業界全体で価格が上がっている中、あなたの値上げだけが拒否される可能性は低い。

値上げ交渉の方法は個人事業主の値上げ交渉術を参照してください。

原材料費の価格転嫁は原材料費が上がったのに値上げできない中小企業の価格転嫁ガイドを参照してください。

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今やるべきこと2:「削れるコスト」と「削れないコスト」を仕分ける

すべてのコストが上がっている状況では「何を残して何を切るか」の判断が求められます。

削れるコスト(即日実行可能)。使っていないサブスクリプション。効果が不明な広告費。過剰な在庫(売れない在庫は現金を固定しているだけ)。分不相応なオフィス・事務所。

削ってはいけないコスト。品質に直結する原材料(品質を落とすと顧客を失う)。従業員の給与(人を失うと事業が回らなくなる)。設備のメンテナンス(メンテナンスを怠ると故障→生産停止のリスク)。

「コスト削減」と「事業の弱体化」は紙一重です。削る対象を間違えると、売上も利益もさらに減少する。「売上を生まないコスト」を削り、「売上を生むコスト」は維持する。この基準で仕分けてください。

固定費の削減は個人事業主の固定費削減チェックリストを参照してください。

今やるべきこと3:「しのぐための資金」を今のうちに確保する

コスト上昇が続く環境では、手元資金の余裕が経営の生命線になります。「まだ大丈夫」と思っているうちに資金を確保しておくことが重要です。追い詰められてから動くと、選択肢が限られ、コストが高くなる。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付。原材料費の高騰で経営に影響を受けている事業者として申込可能。金利年1〜2%台。まとまった運転資金を低コストで確保。審査に2〜3週間。余裕のある今のうちに申込む。

ファクタリング。売掛金があれば、必要なときに即日で現金化できる。今すぐ使わなくても、「いざというときの選択肢」として知っておく。ペイトナーファクタリング(最短10分)、ラボル(最短60分)、OLTA(最短即日・手数料2〜9%)。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

ビジネスローン。公庫の審査を待つ間のつなぎとして。GMOあおぞらネット銀行あんしんワイド(年0.9〜14.0%・口座データ審査)は、事前に口座を開設しておけば、必要なときにすぐ利用可能。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

「いつまで続くのか」ではなく「続いても耐えられる体質」を作る

この記事のメッセージは一つです。「いつ終わるか」を待つのではなく、「終わらなくても耐えられる経営体質」を作ること。

原価に基づいた適正価格を設定する。削れるコストを削り、削れないコストは守る。手元資金の余裕を確保しておく。

この3つを実行すれば、ナフサが上がっても下がっても、円安が進んでも戻っても、経営は揺るがない。不安の正体は「自分でコントロールできないこと」への恐怖です。しかし、自分の事業の価格設定、コスト構造、資金繰りは自分でコントロールできる。コントロールできることに集中してください。

一人で抱え込まないでください。よろず支援拠点(全47都道府県・無料)や商工会議所の経営相談を活用してください。

相談先のまとめは誰にも相談できないお金の悩みの相談先まとめを参照してください。

資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。

資金調達の正しい順番は個人事業主の資金調達は順番が9割を参照してください。

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この記事の更新履歴

  • 初版公開

よくある質問

Q 原材料の高騰はいつまで続きますか?
A

正確な予測は困難ですが、脱炭素による供給構造の変化、地政学リスクの長期化、円安の定着を考慮すると、「以前の水準に戻る」可能性は低いと見られます。「元に戻るのを待つ」のではなく、「高騰が続く前提で経営する」体質への転換が必要です。

Q 値上げできないまま仕入れ値だけ上がっています。どうすれば?
A

値上げは正当な行為です。仕入先の値上げ通知書をエビデンスに、取引先に価格改定を申し入れてください。下請法では、原材料費の上昇分の転嫁を一方的に拒否することは「買いたたき」に該当する可能性があります。

Q コスト上昇に耐えるための資金をどう確保すればいいですか?
A

余裕のあるうちに日本政策金融公庫のセーフティネット貸付(年1〜2%台)を申込んでください。追い詰められてからでは選択肢が限られます。即日の資金が必要な場合はファクタリング(最短10分)またはビジネスローン(最短即日)を利用してください。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。