資金調達

食品製造業の資金繰り|包装資材・原材料・エネルギーコスト高騰の三重苦を乗り越える方法【2026年】

食品の原材料が上がった。小麦粉、油脂、砂糖、乳製品。それに加えて、包装フィルム、トレー、段ボールの値上がり。さらに電気代・ガス代も上がっている。コスト増の要因が同時に3つ重なっている。

中小食品製造業は「原材料費」「包装資材費」「エネルギーコスト」の三重苦に直面しています。特に包装資材は見落とされがちですが、ナフサ価格に直結するプラスチック製品(フィルム、トレー、容器)が大きな割合を占めており、ナフサ高騰の影響が直撃しています。

この記事では、食品製造業の資金繰りが悪化する構造を解説し、三重苦を乗り越えるための具体策を紹介します。

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ナフサ価格と食品包装資材の関係

食品包装に使われる資材の多くがナフサ由来のプラスチック製品です。

包装フィルム(OPP、CPP、ナイロン、ポリエチレン)。ナフサ→エチレン・プロピレン→ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)→包装フィルム。お菓子の袋、冷凍食品の包装、レトルトパウチ等に使用。ナフサ価格が10%上昇すると、包装フィルムの価格は1〜3ヶ月後に5〜10%上昇する。

食品トレー(PSP、PET、PP)。ナフサ→ポリスチレン(PS)・PET→食品トレー。スーパーの惣菜トレー、弁当容器等。

ペットボトル・プラスチック容器。ナフサ→PET樹脂→ペットボトル。飲料、調味料の容器。

段ボール。直接ナフサ由来ではないが、製造に大量のエネルギーを使用するため、エネルギーコストの上昇で値上がり。段ボール用の接着剤(でんぷん系以外)はナフサ由来のケースもある。

食品製造業における包装資材費は、製品原価の10〜25%を占めるケースが一般的です。この10〜25%がナフサ連動で上昇すると、利益への影響は大きい。

食品製造業の三重苦シミュレーション

月商500万円の中小食品製造業の収支例です。

通常時。売上:500万円。食品原材料:150万円(30%)。包装資材:50万円(10%)。エネルギー(電気・ガス):30万円(6%)。人件費:150万円(30%)。その他経費:50万円(10%)。経費合計:430万円。利益:70万円(14%)。

三重苦の影響(原材料15%↑、包装資材20%↑、エネルギー30%↑)。食品原材料:150万→172.5万円(+22.5万円)。包装資材:50万→60万円(+10万円)。エネルギー:30万→39万円(+9万円)。人件費・その他:据え置き。経費合計:471.5万円。利益:28.5万円(5.7%)。利益が70万円→28.5万円。60%の減少。

売上を据え置いたまま三重苦を吸収すると、利益率が14%→5.7%に激減。月28.5万円の利益から税金・借入返済・設備投資を捻出する余裕はほとんどありません。

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価格改定(値上げ)の進め方

食品製造業の価格改定は、消費者の反応が気になるため最も難しい値上げの一つです。しかし「値上げしないと事業が継続できない」状況であれば、避けて通れません。

方法1:量を減らして価格を維持する(実質値上げ)。内容量を5〜10%減らし、販売価格は据え置く。消費者の抵抗感が比較的少ない方法。大手食品メーカーも広く採用している手法。ただし、あまり目に余る減量は「ステルス値上げ」として消費者の反感を買うリスクがある。

方法2:価格を改定して内容量は維持する。原材料費・包装資材費の高騰を理由に、5〜15%の値上げを行う。値上げの理由を明示する(「原材料費の高騰のため」)。消費者は納得感のある理由があれば値上げを受け入れる傾向がある。

方法3:上位グレード製品を投入する。既存製品は据え置き、素材にこだわった上位グレード製品を高価格で新発売する。上位製品で利益率を確保しつつ、既存製品の販売も継続する。

方法4:卸先・小売店との価格改定交渉。卸先(スーパー、コンビニ等)に対して、原材料費・包装資材費の値上げ通知書(仕入先のもの)をエビデンスとして提示し、納入価格の改定を交渉する。下請法の適用がある場合、一方的な価格据え置きは「買いたたき」に該当する可能性がある。

即日の運転資金確保

原材料費・包装資材費の高騰で手元資金が不足している場合の即日対処です。

ファクタリング。卸先・小売店への売掛金を即日現金化し、原材料・包装資材の仕入れ代金に充てる。ペイトナーファクタリング(最短10分)、ラボル(最短60分)、OLTA(最短即日・手数料2〜9%)。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

ビジネスローン。売掛金がない場合、AGビジネスサポート(最短即日)で運転資金を確保。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付。原材料費の高騰で経営に影響を受けている事業者として、低金利(年1〜2%台)の融資を受けられる可能性がある。

包装資材コストを構造的に削減する方法

包装資材の仕入先を複数確保し、相見積もりを取る。同じ規格のフィルムでも、メーカーや代理店によって価格が異なる。

包装仕様の見直し。過剰包装を見直し、包装フィルムの厚みを最適化する(品質・鮮度保持に影響しない範囲で)。包装サイズの統一化でフィルムの種類を減らし、ロット単位を大きくしてスケールメリットを得る。

バイオマスプラスチック・リサイクル素材への切り替え。環境対応とコスト削減を両立できるケースがある。補助金の対象になる場合もある。

資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。

値上げ交渉の方法は個人事業主の値上げ交渉術を参照してください。

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この記事の更新履歴

  • 初版公開

よくある質問

Q 食品包装資材の値上がりはナフサが原因ですか?
A

主な原因の一つです。包装フィルム、トレー、容器の原料であるポリエチレン、ポリプロピレン、PETはすべてナフサから製造されます。ナフサ価格が上昇すると、1〜3ヶ月後に包装資材の価格に反映されます。

Q 食品の値上げは消費者に受け入れられますか?
A

原材料費の高騰を理由とした値上げは、消費者の理解を得やすい傾向があります。値上げの理由を明示し、内容量や品質を維持することで、消費者離れを最小限に抑えられます。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。