資金調達

原価率が50%を超えて赤字に転落|利益が消えた中小企業が立て直すためのロードマップ

売上は変わっていない。むしろ少し増えている。なのに通帳の残高が減っている。帳簿を見直して気づいた。原価率が52%になっている。

以前は35%だった原価率が、じわじわと上がり、気づけば50%を超えていた。売上の半分以上が原材料費に消え、残りの50%で人件費、家賃、光熱費、借入返済のすべてを賄わなければならない。足りるはずがない。

原価率が50%を超えるということは、「売れば売るほど赤字に近づく」状態です。売上を増やしても、増えた分の半分以上が原材料費に消えるため、利益はほとんど増えない。この構造を根本から変えなければ、赤字は慢性化します。

この記事は、「利益が消えた」と感じている中小企業の経営者のための立て直しロードマップです。

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原価率が上昇しているのに気づきにくい理由

多くの中小企業が、原価率の上昇に気づくのが遅れます。その理由は3つあります。

理由1:売上は変わっていない(または増えている)。売上が落ちれば「何かおかしい」と気づく。しかし売上が維持されていると「問題ない」と感じてしまう。売上の陰で、原価率がじわじわ上がっていることに気づかない。

理由2:原材料の値上がりが小刻みに来る。1回の値上げが5%なら「まあ仕方ない」と吸収する。しかし、これが半年で3回繰り返されると、累積で15%以上の上昇になる。1回1回は小さくても、累積すると利益を食い尽くす。

理由3:原価率を定期的にチェックしていない。確定申告のときに初めて「原価率が上がっていた」と気づく。月次で原価率をモニタリングしていれば、早期に異常を検知できる。

立て直しロードマップ:3ヶ月で原価率を正常化する

1ヶ月目:現状把握と緊急の価格改定。

やること1:全製品の原価率を再計算する。現在の仕入れ価格で、製品ごとの原価率を算出する。原価率が高い順に並べる。「どの製品が赤字を生んでいるか」を特定する。

やること2:赤字製品の価格を即座に改定する。原価率50%を超えている製品は、赤字を生んでいる。これらの製品の販売価格を、原価率が35〜40%になる水準に改定する。取引先に価格改定を通知する。

やること3:当面の資金繰りを確保する。価格改定の効果が出るまで1〜2ヶ月かかる。その間の資金をファクタリングまたはビジネスローンで確保する。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

2ヶ月目:製品構成と仕入れの見直し。

やること4:利益率の高い製品の売上比率を高める。全製品の利益率を比較し、利益率の高い製品の販売に注力する。利益率の低い製品は段階的に縮小するか、価格改定で利益率を改善する。

やること5:仕入れ先を見直し、原材料費を下げる。同じ原材料でも、仕入れ先やロットサイズによって価格が異なる。複数の仕入先に見積もりを取り、最も有利な条件で仕入れる。代替材料(性能が同等でコストの低い材料)への切り替えを検討する。

3ヶ月目:モニタリング体制の構築と安定化。

やること6:月次で原価率をモニタリングする仕組みを作る。毎月末に原価率を計算し、前月比で変動がないか確認する。原価率が3ポイント以上上昇した場合は、即座に原因を特定し、対策を打つ。

やること7:契約にスライド条項を導入する。取引先との契約に「原材料費が10%以上変動した場合は、価格を協議の上見直す」条項を盛り込む。今後の原材料費の変動リスクを取引先と共有する仕組み。

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あなたの事業には価値がある

原価率が50%を超えて赤字に転落した状態は、精神的に非常につらい。「もう続けられないのではないか」と感じるかもしれません。

しかし、原価率の上昇は「事業が悪い」のではなく「コスト環境が変わった」だけです。あなたの製品やサービスの価値が下がったわけではない。お客さんがあなたの製品を必要としていることは変わっていない。

変わったのはコストだけです。コストの変化に合わせて価格を調整する。それだけで、事業は再び利益を生む構造に戻ります。

「値上げしたら客が離れる」のは恐怖であって事実ではありません。事実は「値上げせずに赤字を続けたら、いずれ事業を続けられなくなる」ことです。値上げは事業を守るための行動であり、恥ずかしいことでも、お客さんへの裏切りでもありません。

値上げ交渉の方法は個人事業主の値上げ交渉術を参照してください。

赤字が続く場合は赤字が3ヶ月続いている個人事業主の立て直しと撤退の判断基準を参照してください。

資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。

資金調達方法の全体像は中小企業の資金調達方法7選を参照してください。

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この記事の更新履歴

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よくある質問

Q 原価率が何%を超えたら危険ですか?
A

業種によりますが、一般的に原価率40%を超えると利益が圧迫され始め、50%を超えると固定費をカバーできなくなるケースが多い。月次で原価率をモニタリングし、前月比で3ポイント以上上昇した場合は即座に原因を特定してください。

Q 原価率を下げるには値上げするしかないですか?
A

値上げが最も効果的ですが、仕入先の見直し(複数社の相見積もり)、代替材料への切り替え、製品構成の見直し(利益率の高い製品に注力)でも原価率を改善できます。これらを組み合わせることで、値上げ幅を小さくしつつ原価率を正常化できます。

Q 原価率の上昇に気づくにはどうすればいいですか?
A

毎月末に原価率を計算してください。売上÷原材料費=原価率。前月比で変動がないかを確認し、3ポイント以上上昇した場合は原因を特定して対策を打つ。確定申告のときに初めて気づくのでは遅すぎます。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。