ある日突然、体調を崩した。病院に行ったら「2週間は安静に」と言われた。あるいは、入院が必要になった。
会社員であれば、有給休暇がある。傷病手当金がある。給料は減っても、ゼロにはならない。しかし個人事業主には、有給休暇も傷病手当金もない。働けなければ収入はゼロになる。
国民健康保険には傷病手当金の制度がないため、個人事業主が病気やケガで働けなくなった場合、収入の補填は自力で行う必要があります。
この記事では、体調を崩して働けなくなった個人事業主が利用できる公的制度と、収入が止まった状態での緊急資金調達方法を解説します。
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個人事業主が働けなくなったときに起きること
個人事業主が2週間〜1ヶ月働けなくなった場合の影響を整理します。
収入がゼロになる。労働の対価として報酬を受け取る個人事業主は、働かなければ売上が発生しない。継続的な顧問契約等がない限り、休業期間中の収入はゼロです。
固定費は発生し続ける。家賃、通信費、保険料、借入の返済は、休業中も変わらず発生する。
納期に間に合わない。進行中の案件がある場合、納期遅延が発生する。取引先への信頼に影響し、最悪の場合は契約解除につながる。
つまり「収入ゼロ+固定費そのまま+取引先の信頼低下」の三重苦に陥ります。この事態に備えるための公的制度と、事前の準備策を知っておくことが重要です。
利用できる公的制度1:高額療養費制度
医療費が高額になった場合、自己負担額に上限が設定される制度です。
年収約370万円以下の場合、月間の医療費の自己負担上限は約57,600円です。例えば、入院して医療費の総額が100万円かかっても、自己負担は約57,600円で済みます。
事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払い自体が上限額までに抑えられます。国民健康保険に加入している個人事業主は、市区町村の国保窓口で申請できます。
高額療養費制度を知らないまま、窓口で一旦全額を支払ってしまうケースが多い。入院や手術が予定されている場合は、事前に限度額適用認定証を取得しておいてください。
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利用できる公的制度2:国民年金保険料の免除・猶予
収入が減少した場合、国民年金保険料の免除または猶予を申請できます。
全額免除:前年の所得が一定基準以下の場合に適用。免除期間中も年金の受給資格期間に算入される(将来の年金額は減額)。
一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除):所得に応じて段階的に適用。
納付猶予:50歳未満の場合に利用可能。猶予期間中は受給資格期間に算入されるが、年金額には反映されない。
申請先は市区町村の年金窓口または年金事務所です。「病気で収入が減少した」旨を説明し、免除申請書を提出してください。
利用できる公的制度3:住居確保給付金
収入が減少して家賃の支払いが困難になった場合、住居確保給付金を申請できます。
家賃相当額(上限あり)を原則3ヶ月間(最大9ヶ月間)支給する制度。返済不要の給付金です。
個人事業主の場合、収入が減少して住居を失うおそれがある状態に該当すれば対象になりえます。申請先は市区町村の福祉課(生活困窮者自立支援窓口)です。
利用できる公的制度4:緊急小口資金・総合支援資金
社会福祉協議会が実施する貸付制度です。
緊急小口資金:最大10万円。無利子。保証人不要。緊急かつ一時的に生計の維持が困難な場合に利用可能。
総合支援資金(生活支援費):単身世帯で月最大15万円、2人以上世帯で月最大20万円。最大3ヶ月間。無利子(保証人ありの場合)または年1.5%(保証人なしの場合)。
申請先は市区町村の社会福祉協議会です。「病気で働けず、生活費が不足している」と相談してください。
即日で資金を確保する方法
公的制度は申請から支給まで1〜4週間かかるケースがほとんどです。「今週の支払いに間に合わない」という場合は、以下の方法で即日の資金確保を検討してください。
ファクタリング。休業前に発行した請求書(入金待ちの売掛金)があれば、ファクタリングで即日現金化できます。体調が悪くてもスマホから申込可能(オンライン完結のサービス)。ペイトナーファクタリング(最短10分)、ラボル(最短60分・365日対応)が候補です。
ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。
ビジネスローン。売掛金がない場合は短期のビジネスローンで生活費と固定費を確保する方法があります。AGビジネスサポート(最短即日)が候補。復帰後の売上で返済する前提で借りてください。
ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。
取引先への連絡:信頼を守るために
体調を崩したとき、取引先への連絡を後回しにしがちです。しかし、連絡が遅れるほど信頼関係へのダメージは大きくなります。
やるべきことは2つだけです。現在進行中の案件の取引先に「体調不良で○日間作業ができない」と連絡する。納期の延長が必要な場合は、新しい納期を具体的に提示する。
体調の詳細を説明する必要はありません。「体調不良のため」で十分です。誠意ある事前連絡があれば、多くの取引先は納期の調整に応じてくれます。
もし自分で対応できない作業がある場合は、信頼できる外注先に一時的に引き継ぐことも検討してください。事前に「万が一のときに案件を引き継げる外注先」を1〜2社確保しておくと、休業時のリスクが軽減されます。
「働けなくなるリスク」に備える:個人事業主の保険
今回の休業を乗り切った後、「次に同じことが起きた場合」に備える仕組みを導入してください。
就業不能保険(所得補償保険)。病気やケガで働けなくなった場合に、毎月一定額の保険金を受け取れる保険。月々の掛け金は2,000〜5,000円程度(年齢・保険金額による)。個人事業主の「傷病手当金の代わり」として機能する。
小規模企業共済。個人事業主の退職金制度。月々1,000〜70,000円の掛け金を積み立て、廃業時・退職時に共済金を受け取る。掛け金は全額が所得控除の対象(節税効果あり)。病気やケガで事業を廃止した場合も共済金を受け取れる。
緊急予備資金(3ヶ月分)。保険に加えて、生活費+固定費の3ヶ月分を「手をつけない口座」に確保しておく。月間の生活費20万円+固定費10万円であれば、90万円を緊急予備資金として別口座に貯める。
資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。
資金調達方法の全体像は中小企業の資金調達方法7選を参照してください。
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