資金調達

夫婦で個人事業主|2つの事業の資金繰りと家計を両立させる実践的な管理方法

夫はフリーランスのエンジニア。妻はフリーランスのデザイナー。2人とも個人事業主。

この組み合わせは、うまくいっているときは最高です。2つの収入源がある。働く時間を自分たちで決められる。しかし、どちらか一方の事業の調子が悪くなると、家計全体が揺れます。

夫の案件が途切れた月。妻の売上だけで2人分の生活費と2つの事業の固定費をカバーしなければならない。あるいは、妻の取引先の入金が遅れた月。家賃の引き落としに間に合わない。夫の事業用口座から立て替えるが、翌月の夫の外注費が足りなくなる。

夫婦ともに個人事業主の場合、「2つの事業の資金繰り」と「1つの家計」が複雑に絡み合います。この記事では、この3つの財布を整理し、安定した資金管理を実現する方法を解説します。

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最大の問題:3つのお金が混在するカオス

夫婦ともに個人事業主の場合、管理すべき「お金の流れ」は3つあります。

夫の事業資金:夫の売上、夫の事業経費(外注費、通信費等)。

妻の事業資金:妻の売上、妻の事業経費。

家計:家賃、食費、光熱費、子どもの教育費、保険料、税金等。

この3つが1つまたは2つの口座に混在していると、「今、事業にいくら使えるのか」「家計にいくら残っているのか」がまったく見えなくなります。

よくある失敗パターン。夫の売上が入金される→家賃を支払う→妻の外注費を支払う→夫の外注費を支払おうとしたら残高が足りない。どの支出がどの収入から出ているのか不明。結果、毎月「なんとなく足りない」状態が続く。

解決策:口座を4つに分ける

夫婦ともに個人事業主の場合、最低4つの口座が必要です。

口座1:夫の事業用口座。夫の売上を入金。夫の事業経費を支払い。

口座2:妻の事業用口座。妻の売上を入金。妻の事業経費を支払い。

口座3:家計用口座。夫と妻がそれぞれの事業用口座から毎月一定額を「家計への拠出金」として移す。家賃、食費、光熱費、保険料等の家計支出はすべてこの口座から支払う。

口座4:緊急予備資金口座(世帯共通)。夫と妻がそれぞれの事業用口座から毎月一定額を積み立てる。緊急時以外は引き出さない。

この4つの口座を運用するルールは以下の通りです。

ルール1:売上は必ず自分の事業用口座に入金する。夫の売上を家計口座に直接入れない。

ルール2:事業経費は自分の事業用口座から支払う。妻の外注費を夫の事業用口座から支払わない。

ルール3:毎月の「家計への拠出金」は金額を固定する。夫が月15万円、妻が月15万円を家計口座に移す(合計30万円)。売上の多寡に関わらず、この金額を固定する。

ルール4:拠出金を出した残りが、それぞれの事業の運転資金。夫の売上が月50万円で拠出金が15万円なら、残り35万円が夫の事業に使える金額。この範囲で外注費や経費をやりくりする。

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片方の事業が赤字の月の乗り越え方

夫婦ともに個人事業主の場合、「片方の売上が極端に少ない月」は必ず来ます。この事態への対応方法を事前に決めておくことが重要です。

対応パターン1:拠出金の一時的な調整。夫の売上が落ちた月は、夫の拠出金を15万円→5万円に減額。妻の拠出金を15万円→20万円に増額(妻の事業に余裕がある場合)。家計への合計拠出金を維持する。翌月以降、夫の売上が回復したら拠出金を元に戻す。

対応パターン2:緊急予備資金から補填する。両方の事業が同時に不調の場合は、緊急予備資金口座から家計口座に不足分を移す。予備資金が減った分は、両方の事業が回復した後に補填する。

対応パターン3:ファクタリングで一時的に資金を確保する。売掛金がある方の事業で、ファクタリングを使って即日資金を確保する。手数料は発生するが、家計を維持するための合理的なコスト。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

事前にルールを決めておくことで、片方の事業が不調なときに「どうする?」「どっちが出す?」という夫婦間の摩擦を避けられます。お金の問題は感情的になりやすいからこそ、ルール化が重要です。

世帯全体の緊急予備資金の考え方

夫婦ともに個人事業主の場合、緊急予備資金は会社員の夫婦よりも多めに確保する必要があります。会社員であれば失業保険がありますが、個人事業主にはありません。

目標額の計算。月間の家計支出:30万円。夫の事業固定費:10万円。妻の事業固定費:5万円。合計月間支出:45万円。3ヶ月分:135万円。

135万円は大きな金額ですが、夫婦2人で毎月5万円ずつ(合計10万円)積み立てれば、約14ヶ月で達成できます。

予備資金の積み立て中に緊急事態が起きた場合は、ファクタリング(最短10分)やビジネスローン(最短即日)で対応してください。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

税金の準備も世帯単位で計画する

夫婦ともに個人事業主の場合、確定申告後の税金の支払いも2人分です。所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料が2人分かかります。

世帯全体の年間税負担を事前に概算し、毎月の積み立て額を決めてください。

夫の年間所得400万円の場合の税・社会保険料:約100万円。妻の年間所得300万円の場合の税・社会保険料:約70万円。世帯合計:約170万円。月間の積み立て額:約14万円。

「税金用口座」を世帯で1つ作り、夫と妻がそれぞれの事業用口座から毎月の税金積立額を移す仕組みが効果的です。確定申告後にこの口座から納税すれば、「税金が払えない」事態を防げます。

税金が払えない場合の対処は確定申告後に税金が払えない個人事業主の対処法を参照してください。

夫婦間のお金のルールを「見える化」する

夫婦のお金の管理で最も重要なのは「透明性」です。

毎月1回、「家計ミーティング」を開いてください。15分で十分です。内容は以下の3点だけ。

1点目:今月の各口座の残高を確認する。事業用口座(夫)、事業用口座(妻)、家計口座、緊急予備資金口座。

2点目:来月の入金予定と支払い予定を共有する。どちらの事業が好調で、どちらが厳しいかを把握する。

3点目:来月の拠出金の金額を確認する。調整が必要な場合はこの場で決める。

お金の問題を「見えない」まま放置すると、不信感や不満が蓄積します。月1回の15分間で、夫婦間のお金の透明性を維持してください。

資金繰り表の作り方は個人事業主の資金繰り表の作り方を参照してください。

資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。

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この記事の更新履歴

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よくある質問

Q 夫婦ともに個人事業主の場合、口座はいくつ必要ですか?
A

最低4つです。夫の事業用口座、妻の事業用口座、家計用口座、緊急予備資金口座。売上と経費を事業ごとに分離し、家計への拠出金を固定することで、3つのお金の流れが明確になります。

Q 片方の売上が落ちた月、家計はどうすればいいですか?
A

事前にルールを決めておいてください。①売上が落ちた方の拠出金を減額し、もう一方が増額する②緊急予備資金から補填する③売掛金があればファクタリングで即日資金を確保する。ルール化しておくことで、夫婦間の感情的な摩擦を防げます。

Q 夫婦で個人事業主の場合、緊急予備資金はいくら必要ですか?
A

月間の家計支出+夫の事業固定費+妻の事業固定費の3ヶ月分が目安です。家計支出月30万円+夫の固定費月10万円+妻の固定費月5万円の場合、135万円が目標額です。夫婦で毎月合計10万円積み立てれば約14ヶ月で達成できます。

Q 夫婦間でお金のことで揉めないためにはどうすればいいですか?
A

月1回の「家計ミーティング」(15分)で、各口座の残高、来月の入金・支払い予定、拠出金の調整を共有してください。お金の問題を「見えない」まま放置することが、夫婦間の不信感の最大の原因です。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。