資金調達

個人事業主の資金繰り表の作り方|お金の不安をなくすシンプルな管理術

「来月の支払いに足りるだろうか」。この不安が頭から離れない。通帳を見ても、来週の入金がいくらで、来月の支払いがいくらか、正確に把握できていない。

個人事業主の資金繰りの不安は、「見えないこと」から生まれます。入金と支払いの予定が頭の中にしかなく、全体像が見えない。だから漠然と不安になる。

この不安を解消するのが「資金繰り表」です。大げさなものではありません。「いつ、いくら入ってきて、いつ、いくら出ていくか」を書き出すだけ。ノート1枚でも、スマホのメモでもできます。

この記事では、個人事業主のための最もシンプルな資金繰り表の作り方を解説します。

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資金繰り表とは何か:損益計算書との違い

資金繰り表は「現金の動き」を記録するものです。確定申告で使う損益計算書(売上−経費=利益)とは目的が異なります。

損益計算書:売上を「計上した月」に記録する。1月に仕事を納品すれば、入金が3月でも売上は1月に計上。

資金繰り表:現金が「実際に動いた日」を記録する。1月に納品しても、入金が3月なら3月に記録。

損益計算書は「儲かっているかどうか」を見るもの。資金繰り表は「現金が足りるかどうか」を見るもの。個人事業主にとって、日々の事業運営で重要なのは後者です。

「黒字なのにお金がない」状態は、損益計算書だけを見ていると気づけません。資金繰り表を作ることで初めて「来月の15日に20万円足りなくなる」という事実が見えます。

最もシンプルな資金繰り表の作り方(5ステップ)

エクセルの関数を使いこなす必要はありません。以下の5ステップで、ノートやメモアプリに書き出すだけで十分です。

ステップ1:今日の口座残高を書く。事業用口座の残高を確認し、書き出す。これが「スタート地点」です。複数の口座がある場合は合計額を使う。

ステップ2:今後1ヶ月の「入金予定」を日付と金額で書き出す。請求書を出している売掛金の入金予定日と金額。定期的な入金(毎月の顧問料等)。その他の入金(補助金、還付金等)。

ステップ3:今後1ヶ月の「支払い予定」を日付と金額で書き出す。家賃・事務所費用(引き落とし日と金額)。外注費・下請け代金(支払い期日と金額)。仕入れ代金。クレジットカードの引き落とし(引き落とし日と金額)。通信費・光熱費等の固定費。借入の返済(返済日と金額)。税金・社会保険料(納付期限と金額)。

ステップ4:日付順に並べて、残高の推移を計算する。今日の残高からスタートし、入金があればプラス、支払いがあればマイナスして、日ごとの残高を計算する。

ステップ5:残高がマイナスになる日があるか確認する。残高がマイナスになる日=資金ショートの日。その日までに資金を調達する必要がある。

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資金繰り表の具体例

以下はフリーランスWebデザイナーの資金繰り表の例です。

5月1日:口座残高 30万円(スタート)

5月10日:家賃引き落とし −12万円 → 残高18万円

5月15日:クレジットカード引き落とし −8万円 → 残高10万円

5月20日:外注先Aへの支払い −15万円 → 残高 −5万円(マイナス!)

5月25日:取引先Bからの入金 +25万円 → 残高20万円

5月31日:取引先Cからの入金 +30万円 → 残高50万円

この例では、5月20日に残高がマイナスになります。取引先Bからの入金(5月25日)を待てれば回復しますが、外注先Aへの支払いは5月20日。5日間のギャップをどう埋めるかが課題です。

解決策は3つあります。外注先Aに5日間の支払い猶予を交渉する(0円)。取引先Bへの売掛金25万円をファクタリングで5月19日までに現金化する(手数料2.5万円)。ビジネスローンで5万円を短期で借りる(利息は数百円程度)。

このように、資金繰り表を作ることで「いつ、いくら足りなくなるか」が事前にわかり、対処する時間的余裕が生まれます。

資金繰り表を習慣化するコツ

資金繰り表は、1回作って終わりではなく、毎週更新するのが理想です。しかし「毎週更新する」と決めても、忙しいと忘れてしまう。

習慣化のコツは「曜日と時間を固定する」ことです。「毎週月曜の朝10分」と決めて、入金・支払いの予定を更新する。10分で十分です。

更新のポイント。新たに発行した請求書の入金予定を追加する。新たに発生した支払い予定を追加する。実際に入金・支払いがあったものは「済」にする。来週の残高推移を確認し、マイナスになる日がないかチェックする。

この10分間の習慣だけで、「来月の支払いに足りるだろうか」という漠然とした不安は消えます。足りない場合は事前にわかるため、冷静に対処できます。

資金繰り表で「足りない」と判明した場合の即日対処法

資金繰り表を作成した結果、近日中に資金ショートすることが判明した場合の即日対処法です。

売掛金がある場合:ファクタリングで即日現金化。ペイトナーファクタリング(最短10分)、ラボル(最短60分)が候補。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

売掛金がない場合:ビジネスローンで短期資金を借りる。AGビジネスサポート(最短即日)、デイリーキャッシング(最短30分審査)が候補。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

支払い先に猶予を交渉できる場合:支払い期日の前に連絡し、具体的な支払い日を提示して数日の猶予を得る。

資金繰り表は「お守り」ではなく「地図」

資金繰り表を作っても売上が増えるわけではありません。しかし、「見えない不安」を「見える課題」に変える力があります。

不安の正体がわかれば、対処できます。「なんとなく足りない気がする」と「5月20日に15万円足りない」では、行動のしやすさがまったく違います。

資金繰り表は、お金の不安を解消するための「地図」です。地図があれば、目的地までの道順がわかる。道順がわかれば、迷わずに済む。個人事業主にとって、この10分間の作業が事業の安定につながります。

資金調達方法の全体像は中小企業の資金調達方法7選を参照してください。

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この記事の更新履歴

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よくある質問

Q 資金繰り表は個人事業主にも必要ですか?
A

必要です。個人事業主こそ必要と言えます。法人には経理担当者がいますが、個人事業主は自分で資金を管理しなければなりません。資金繰り表を作ることで「いつ、いくら足りなくなるか」が事前にわかり、対処する時間的余裕が生まれます。

Q 資金繰り表はエクセルで作るべきですか?
A

エクセルでなくても構いません。ノート、メモアプリ、Googleスプレッドシートなど、自分が続けやすい方法で作ってください。重要なのはツールではなく「入金予定と支払い予定を書き出して残高を計算する」という行為そのものです。

Q 資金繰り表はどのくらい先まで作るべきですか?
A

最低1ヶ月先、できれば3ヶ月先まで作るのが理想です。1ヶ月先であれば入金・支払いの予定がほぼ確定しているため正確に作れます。3ヶ月先は見込みベースになりますが、「大きな支払い(税金、保険料等)がいつ来るか」を把握するために有効です。

Q 中小企業のM&A・会社売却と資金調達の関係|売却前に知っておくべき資金戦略
A

3つの選択肢があります。①売掛金をファクタリングで即日現金化する(最短10分)②ビジネスローンで短期資金を借りる(最短即日)③支払い先に事前連絡して数日の猶予を交渉する。資金ショートの日から逆算して、早めに行動してください。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。