この記事でわかること
本記事では、Cookie(クッキー)の基本的な仕組みや役割、Webサイトとユーザー間でどのようにデータが保存・送信されるかを解説しています。さらに、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いについても詳しく説明し、それぞれがWeb体験やマーケティングにどのように利用されているかを紹介しています。加えて、Cookie利用に関する最新の規制動向や、プライバシー保護の観点から注意すべきポイントについても取り上げています。
Cookie(クッキー)とは何か
Cookie(クッキー)は、Webサイトにアクセスしたユーザーのブラウザに一時的に保存される小さなデータファイルのことを指します。この仕組みは、Webサイト運営者や広告主がユーザーの行動や設定情報を記録し、より快適でパーソナライズされたWeb体験を提供するために活用されています。
ユーザーにとっては、ログイン状態の保持やショッピングカートの内容保存など、利便性を高める役割を果たし、運営側にとってはマーケティングや広告効果の最適化に欠かせない技術です。
Cookieの仕組みと役割

Cookieは、ユーザーがWebサイトを訪問した際、WebサーバーやJavaScriptから送信され、ブラウザに保存されます。保存される情報は、訪問日時や閲覧履歴、ログイン情報、ユーザー設定など多岐にわたり、これらの情報を基にWebサイトはユーザーごとに最適化されたコンテンツを表示します。
たとえば、ECサイトで一度カートに入れた商品が次回訪問時にも残っているのは、Cookieによってユーザーの状態が記憶されているからです。また、ログイン情報をCookieに保存することで、毎回IDやパスワードを入力する手間を省くことも可能です。
ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い
Cookieには大きく分けて、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの2種類があります。
- ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪問しているWebサイト自身が発行するCookieで、主にログイン情報の保持やユーザー設定の保存などに使われます。
- サードパーティCookieは、訪問したWebサイトとは異なる第三者(広告配信会社など)が発行するCookieで、複数のWebサイトを横断してユーザーの行動を追跡し、ターゲティング広告やリターゲティング広告に活用されます。
サードパーティCookieはマーケティングにおいて強力なツールでしたが、プライバシー保護の観点から規制が強化されており、2024年以降、多くのブラウザで段階的に廃止が進んでいます。
Cookieの具体的な活用例

1. ログイン情報の保存
多くのWebサービスやECサイトで、ユーザーが「次回からメールアドレスやパスワードの入力を省略する」設定を選択すると、Cookieにその情報が保存されます。これにより、再訪時に自動ログインが可能となり、ユーザーの利便性が大幅に向上します。
2. ショッピングカートの内容保持
ECサイトで商品をカートに入れた後、サイトを離れてもカートの中身が保持されているのはCookieの仕組みのおかげです。ユーザーは途中で離脱しても、再度訪れた際にスムーズに購入手続きを再開できます。
3. 行動ターゲティング広告(リターゲティング)
ユーザーがあるWebサイトで閲覧した商品やサービスに関連した広告が、別のWebサイトやSNSで表示されることがあります。これはサードパーティCookieを利用した行動ターゲティング広告で、ユーザーの過去の閲覧履歴を基に、興味関心に合った広告を配信しています。
Cookieのメリット
Cookieは、ユーザーにとっては快適でパーソナライズされたWeb体験を提供し、Webサイト運営者にとってはユーザーの行動分析やマーケティングの最適化に役立つ重要なツールです。
たとえば、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴を分析することで、個々のニーズに合わせた広告やコンテンツを提供でき、広告費の効率化や売上向上につながります。
Cookieの問題点とプライバシー規制

しかし、Cookieの利用にはプライバシー保護の問題も存在します。特にサードパーティCookieは、ユーザーの行動を複数のサイトにまたがって追跡できるため、個人情報の漏洩や不正利用のリスクが指摘されています。
これを受けて、EUのGDPR(一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法など、多くの国でCookie利用に関する厳しい規制が導入されています。さらに、Google ChromeやSafari、Firefoxなど主要ブラウザはサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止し、ユーザーのプライバシー保護を強化しています。
規制強化に伴うマーケティングの変化と対応策
Cookie規制の強化により、従来のサードパーティCookieに依存したターゲティング広告やリターゲティング広告は難しくなりつつあります。これに対応するため、企業は以下のような対策を進めています。
- ファーストパーティデータの活用
自社サイトで収集した顧客データを活用し、プライバシーを尊重しながらパーソナライズドマーケティングを行う。 - コンテキストターゲティングの導入
ユーザーの閲覧コンテンツに基づいて広告を配信し、個人の行動履歴に依存しない広告手法を採用。 - プライバシー保護技術の活用
Googleのプライバシーサンドボックスや、ID連携技術など、Cookieに代わる新たな技術を活用。 - CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の導入
複数チャネルのデータを統合し、顧客理解を深めることで、より効果的なマーケティングを実現。
Cookieの削除・管理とユーザーの注意点

ユーザーはブラウザの設定からCookieを自由に削除・管理できます。特に公共のパソコンや共有端末を利用する際は、Cookieを削除しないと個人情報が他者に見られるリスクがあります。
また、多くのWebサイトではCookie利用の同意を求めるポップアップが表示され、ユーザーは自分の情報がどのように使われるかを選択できるようになっています。
最新技術とCookieレス時代のマーケティング
Cookie規制の流れを受けて、マーケティング業界ではCookieに依存しない新たな技術や手法の開発が急務となっています。
例えば、Googleが提唱する「Topics API」や「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」は、個人を特定せずに興味関心に基づく広告配信を可能にする技術です。
また、機械学習やAIを活用したデータ解析、ファーストパーティデータの高度活用、コンテキスト広告の強化など、多様なアプローチが模索されています。
まとめ
Cookieは、Webサイトの利便性向上とマーケティング最適化に不可欠な技術である一方、プライバシー保護の観点から規制が強化されているため、今後はCookieに依存しない新たな技術や運用が求められています。
ユーザーは自分の情報管理に注意し、企業は透明性と信頼性の高いデータ活用を心がけることが、これからのWebマーケティング成功の鍵となるでしょう。
今後も技術革新と法規制の変化を注視しながら、ユーザーの信頼を得るマーケティング戦略を構築することが必要不可欠です。
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