法人カードの年会費は経費にできるのか。できるとしたら勘定科目は何を使うのか。
経理担当者だけでなく、自分で会計処理をしている中小企業の経営者にとっても気になるポイントです。結論から言えば、事業用の法人カードの年会費は全額経費になります。
この記事では、年会費の勘定科目、具体的な仕訳例、そしてポイントやマイルの税務上の扱いまでを解説します。
法人カードの年会費は経費にできるのか(結論)
法人カードの年会費は、事業目的で利用するカードである限り、全額を経費(損金)として計上できます。
法人税法上、事業に関連する費用は損金算入が認められています。法人カードは経費の決済手段として事業に使用するものであり、その維持費(年会費)は事業関連費用に該当します。
年会費が1,000円でも30,000円でも、事業用カードであれば金額の多寡に関わらず全額経費です。ゴールドカードやプラチナカードの高額な年会費でも同様です。
ただし、法人カードを個人的な買い物にも使用している場合は、事業利用分のみが経費対象です。法人カードは事業専用とし、個人の支出には個人カードを使うことを徹底してください。
年会費の勘定科目は何を使うか
「支払手数料」が一般的
最も広く使われている勘定科目は「支払手数料」です。カード年会費はカード会社に支払うサービス利用料であり、手数料の性質に合致します。振込手数料やシステム利用料と同じ分類です。
「諸会費」でも可
「諸会費」で処理することも認められています。カード会員としての年会費という性質を考えると、業界団体の年会費と同様の位置づけです。
どちらの勘定科目を使っても税務上の扱いに違いはありません。一度決めた勘定科目を継続して使用することが重要です。毎年科目を変更すると、会計処理の一貫性が損なわれます。
年会費の仕訳例
法人カードの年会費11,000円(税込)が法人口座から引き落とされた場合の仕訳は以下の通りです。
借方:支払手数料 10,000円、仮払消費税 1,000円 貸方:普通預金 11,000円
消費税の課税区分は「課税仕入」です。法人カードの年会費には消費税が含まれているため、消費税の仕入税額控除の対象になります。
初年度年会費無料のカードの場合、初年度は仕訳が発生しません。2年目から年会費が発生した時点で上記の仕訳を行います。
ポイントやマイルの税務上の扱い
法人カードの利用で付与されるポイントやマイルは、税務上やや複雑な扱いになります。
ポイントを商品購入や経費の支払いに充当した場合、その分は「雑収入」として計上するのが原則です。例えば10,000ポイント(10,000円相当)を備品購入に使った場合、仕訳は以下のようになります。
借方:消耗品費 10,000円 貸方:雑収入 10,000円
ただし、ポイントを貯めているだけで使用していない段階では、原則として計上の必要はありません。ポイントは「使用した時点」で収益として認識します。
マイルを出張の航空券に充当した場合も同様に、航空券代相当額を雑収入として計上します。
実務上は、少額のポイント利用について細かく仕訳を起こすことが煩雑であるため、顧問税理士に自社の処理方針を確認しておくことを推奨します。
法人カードで経費精算する際の注意点
法人カードで決済した経費は、カードの利用明細が領収書の代わりになるケースがあります。ただし、2023年10月のインボイス制度開始以降は、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件となっています。
カード利用明細だけではインボイスの要件を満たさない場合があるため、3万円以上の取引については別途領収書やインボイスを取得・保存しておくことが安全です。
また、法人カードの利用明細は経理証憑として7年間(欠損金がある場合は10年間)保存する義務があります。紙の明細ではなく、カード会社のWeb明細をPDFでダウンロードして保存する方法が効率的です。
ETCカードの利用明細についても同様に保存が必要です。高速道路の利用明細はETC利用照会サービスからダウンロードできます。