資金調達

個人事業主の緊急予備資金|「あと3ヶ月は大丈夫」と言える貯蓄の作り方

もし明日から1ヶ月間、仕事がゼロになったら。取引先が倒産して売掛金が回収不能になったら。体調を崩して2週間働けなくなったら。

その状況で、家賃と生活費を3ヶ月間払い続けられる貯蓄がありますか。

この問いに「ない」と答える個人事業主は多い。毎月の売上から経費と生活費を引くと、残りはほぼゼロ。「余ったら貯めよう」と思っても、余ることがない。

しかし「緊急予備資金」がない状態は、綱渡りの上を歩いているのと同じです。1つの想定外(入金遅延、体調不良、取引先の倒産)で、即座に資金ショートに陥る。そのたびにファクタリングやビジネスローンで急場をしのぐ。手数料と利息が積み上がる。悪循環です。

この記事では、毎月ギリギリの個人事業主が、緊急予備資金を「仕組みで」貯める方法を解説します。

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緊急予備資金はいくら必要か

緊急予備資金の目標額は「月間の生活費+事業の固定費」の3ヶ月分です。

生活費(月間):家賃、食費、光熱費、通信費、保険料、その他の生活費。例えば月20万円。

事業の固定費(月間):事務所家賃、通信費、サブスクリプション、借入返済。例えば月10万円。

合計:月30万円 × 3ヶ月 = 90万円。

「90万円も貯められない」と感じるかもしれません。しかし、一度に90万円を貯める必要はありません。毎月3万円ずつ貯めれば、2年半で90万円に達します。毎月5万円なら1年半。まずは1ヶ月分(30万円)を目標にして、そこから積み上げてください。

1ヶ月分の予備資金があるだけでも、「来月は大丈夫」という安心感が生まれます。この安心感は、精神的な余裕につながり、事業の判断力を向上させます。

「余ったら貯める」では絶対に貯まらない理由

多くの個人事業主が「売上から経費と生活費を引いて、余った分を貯蓄に回そう」と考えます。しかしこの方法では貯まりません。

理由は2つあります。

理由1:個人事業主の売上は毎月変動する。今月は余裕があっても、来月は赤字かもしれない。余裕のある月に「余った分」を貯めても、赤字の月に取り崩すことになる。

理由2:お金があると使ってしまう。手元に30万円の余裕があると、「新しいPCを買おう」「広告費を増やそう」と、事業の改善に使いたくなる。これは悪いことではないが、緊急予備資金がゼロのまま投資を優先するのは順序が逆です。

貯蓄の鉄則は「先取り」です。売上が入金されたら、最初に予備資金用の口座に移す。残った金額で経費と生活費をやりくりする。「余ったら貯める」ではなく「先に取って、残りで暮らす」。この順序を変えるだけで、貯蓄は確実に増えます。

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先取り貯蓄の具体的な仕組み

ステップ1:緊急予備資金専用の口座を開設する。事業用口座とも個人用口座とも別の口座を用意する。この口座は「緊急時以外は絶対に引き出さない」と決める。

ステップ2:売上入金のたびに、入金額の10%を予備資金口座に移す。売上が50万円入金されたら、5万円を即座に予備資金口座に移す。残りの45万円で経費と生活費をやりくりする。

ステップ3:予備資金口座のキャッシュカードを財布から出す。物理的にアクセスしにくい状態を作る。ネット銀行であれば、振込限度額をゼロに設定する(振込限度額を変更するには手続きが必要になるため、衝動的な引き出しを防げる)。

10%が厳しければ5%から始めてください。月間売上50万円の5%は2.5万円。年間で30万円。1ヶ月分の予備資金が1年で貯まります。

重要なのは「金額の大きさ」ではなく「仕組みとして継続すること」です。毎月5,000円でも、やらないよりは100倍良い。

予備資金を取り崩していいケースと、いけないケース

緊急予備資金は「緊急時」のための資金です。何が「緊急」で何が「緊急ではない」かを事前に定義しておかないと、ずるずると取り崩してしまいます。

取り崩していいケース。取引先の倒産や入金遅延で、今月の支払いに足りない。病気やケガで働けず、収入がゼロの月の生活費。自然災害で事業に被害が出た場合の復旧費用。

取り崩してはいけないケース。新しい機材やPCの購入。事務所の移転費用。広告費の増額。セミナーや研修への参加費。

後者はすべて「投資」であり、緊急ではありません。投資のための資金は、緊急予備資金とは別に貯めてください。予備資金を投資に使うと、本当の緊急時に対応できなくなります。

予備資金がまだ貯まっていない段階での緊急対応

予備資金を貯め始めたばかりで、まだ目標額に達していない段階で緊急事態が起きた場合は、以下の手段で対応してください。

ファクタリング。売掛金があれば即日で現金化可能。ペイトナーファクタリング(最短10分)、ラボル(最短60分)が候補。予備資金が貯まるまでの「つなぎ」として利用し、予備資金が3ヶ月分に達したらファクタリングに頼る頻度を減らす。

ファクタリングの詳細はファクタリングおすすめ比較7選を参照してください。

ビジネスローン。売掛金がない場合はAGビジネスサポート(最短即日)で短期資金を借りる。次の売上入金で速やかに完済する。

ビジネスローンの比較はビジネスローンおすすめ比較8選を参照してください。

この「緊急対応の手数料・利息」は、予備資金があれば不要だったコストです。ファクタリングを1回使うたびに手数料が数千〜数万円かかる。年間で何回も使えば、その合計は数十万円になる。予備資金を貯めるモチベーションとして、「ファクタリングの手数料を将来的にゼロにする」という目標を持ってください。

予備資金の貯蓄を加速させる3つの方法

毎月の先取り貯蓄に加えて、予備資金の貯蓄を加速させる方法を3つ紹介します。

方法1:固定費を見直して浮いた分を予備資金に回す。月額サブスクリプションの棚卸し、スマホプランの見直し、保険の見直し等で月5,000〜2万円を削減し、その全額を予備資金口座に移す。

方法2:臨時収入は全額予備資金に回す。予想外の入金(スポット案件、還付金、ポイント交換等)があった場合、生活費に使わず全額を予備資金口座に移す。

方法3:年に1回「予備資金集中月間」を設定する。閑散期の前の繁忙期に、1ヶ月だけ支出を極限まで絞り、利益の大部分を予備資金に回す。

資金繰り改善の全体像はキャッシュフロー改善の方法7選を参照してください。

資金繰り表の作り方は個人事業主の資金繰り表の作り方を参照してください。

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この記事の更新履歴

  • 初版公開

よくある質問

Q 個人事業主の緊急予備資金はいくら必要ですか?
A

「月間の生活費+事業の固定費」の3ヶ月分が目安です。生活費月20万円+固定費月10万円であれば、90万円が目標額です。まずは1ヶ月分(30万円)を目標にして、そこから積み上げてください。

Q 毎月ギリギリで貯蓄する余裕がありません。どうすればいいですか?
A

「余ったら貯める」ではなく「先に取って、残りで暮らす」方式に切り替えてください。売上入金の5〜10%を即座に予備資金口座に移す。月間売上50万円の5%は2.5万円。この金額で生活が成り立たない場合は、固定費の見直しまたは売上の増加が先に必要です。

Q 緊急予備資金を投資に使ってもいいですか?
A

使うべきではありません。予備資金は「緊急時」のための資金です。投資(機材購入、広告費等)は予備資金とは別に貯めてください。予備資金を投資に使うと、本当の緊急時に対応できなくなります。

Q 予備資金が貯まるまでの間、資金ショートしたらどうすればいいですか?
A

売掛金があればファクタリング(最短10分)、なければビジネスローン(最短即日)で対応してください。予備資金が3ヶ月分に達すれば、これらの手段に頼る頻度が大幅に減り、手数料・利息のコスト削減にもつながります。

深作浩一郎
この記事の著者・監修
代表取締役 深作浩一郎

深作浩一郎|株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン 代表取締役 / 空き家地方創生株式会社 取締役CFO。2,000社以上の中小企業支援実績を持つマーケティングコンサルタント。CFOとしてTOKYO PRO Market上場準備を主導し、監査法人対応・J-Adviser審査対応・財務戦略の策定・金融機関への融資交渉・資金繰り計画を統括。自らも通販会社の設立と会社売却を繰り返す仕組みを作り、法人カード・ビジネスローン・ファクタリング等の法人金融サービスを経営実務として活用。著書に『ゼロイチ起業』『現在の自分をお金に変える方法』。