地方中小インフラ企業からの依頼
地方企業の採用はSNSで解決するのか
ある地方企業の人事部長から、採用について相談を受けた。
その会社は、地域にとって欠かせない仕事を担っている企業だった。
長く地域に根付き、インフラの一部として機能しているような存在である。
事業としての需要はある。
むしろ、仕事自体は増えている状況だった。
しかし、ひとつ大きな問題があった。
人が足りない。
慢性的な人手不足により、仕事を増やしたくても増やせない。
受けられる案件も限られてしまう。
人事部長の話を聞いていると、もし安定して人材を確保できれば、状況は大きく変わることが分かった。
業務を拡大することもできる。
売上も大きく伸ばすことができる。
そして何より、この会社は地域のインフラを担っている。
安定した人材が確保できれば、地域にとって必要な機能を維持しながら、会社の経営を黒字化することもできる。
つまり、この会社にとって採用は単なる人事の問題ではない。
会社の未来を左右する経営課題だった。
部長が考えていたのはSNS採用だった
では、この会社は採用のためにどのような取り組みを考えていたのか。
部長の口から最初に出てきたのは、
SNS採用
という言葉だった。
最近では多くの企業が、InstagramやTikTok、YouTubeなどを活用して採用活動を行っている。
SNSで会社の雰囲気を発信し、求職者に興味を持ってもらうという方法である。
実際、採用の話になると「まずはSNSを始めましょう」と提案されるケースは少なくない。
部長も同じように考えていた。
「SNSを活用すれば採用につながるのではないか」
そう思ったのだという。
ただし、ここで問題があった。
社内にSNS運用のノウハウがない。
日々の業務を回すだけでも忙しい中で、
SNSを継続的に更新し、採用につながるような発信を続けていくのは簡単なことではない。
そのため、部長は次の選択肢を考えていた。
SNS運用の外注という選択肢
部長が検討していたのは、
SNS運用を外部の会社に依頼すること
だった。
最近では、企業のSNSアカウントを代わりに運用してくれる会社も多い。
採用目的のSNS運用を専門にしている会社もある。
そうした会社に依頼すれば、
・アカウントの運用
・投稿内容の企画
・動画制作
・広告運用
といったことを一括して任せることができる。
「専門の会社に頼めば、採用につながるのではないか」
部長はそう考えていた。
しかし、そこには大きな不安もあった。
費用対効果である。
地方企業にとって、SNS運用の外注費は決して安くない。
数十万円の費用がかかるケースも珍しくない。
それを数ヶ月、あるいは一年単位で続ける必要がある。
しかし、その結果として本当に採用が成功するのか。
そこには明確な保証があるわけではない。
「もし採用できなかったらどうするのか」
部長は、その点を非常に気にしていた。
地方企業にとって、採用への投資は慎重にならざるを得ない。
大企業のように潤沢な資金があるわけではないからだ。
採用が成功すれば会社の未来は変わる
ただし、この会社の場合、採用が成功したときのインパクトは非常に大きかった。
安定した人材を確保することができれば、これまで断っていた仕事も受けられるようになる。
結果として、売上は大きく伸びる可能性があった。
さらに、この会社は地域社会にとって重要な役割を担っている。
単に利益を上げるだけでなく、
地域のインフラとしての機能を維持することも求められている。
もし採用が成功し、事業を安定して回せるようになれば、
地域に必要なサービスを維持しながら、会社を黒字化することができる。
部長の話を聞きながら、私は改めて感じていた。
この会社にとって採用とは、
単なる人事施策ではない。
経営そのものに直結するテーマだった。
ヒアリングの中で感じた違和感
そこで、私は部長にいくつか質問をした。
「どんな人材に来てほしいと考えていますか」
「この会社は、どんな方向を目指しているのでしょうか」
「働く人にとって、この会社の魅力は何だと思いますか」
しかし話を聞いているうちに、ある違和感を感じるようになった。
部長の話は、ほとんどがSNSの話だった。
どのSNSを使うべきか。
動画を作るべきか。
どの会社に外注するべきか。
そうした話はたくさん出てくる。
しかし、
・どんな人材と一緒に働きたいのか
・この会社はどこに向かっているのか
・この仕事にはどんな意味があるのか
そうした話は、まだ十分に整理されていなかった。
採用の手法については考えている。
しかし、
採用の戦略そのものはまだ言語化されていない。
そんな印象を受けた。
資金力のない地方企業が取れる採用戦略
熱量採用
地方企業が採用を考えるとき、ひとつの現実がある。
給与や待遇だけで大企業と競争することは難しい。
都市部の企業と比べれば、どうしても資金力の差がある。
採用広告に大きな予算を投じることも難しい。
だからといって、地方企業が人材を集めることができないわけではない。
むしろ、地方企業だからこそ取れる採用戦略もある。
それは、
熱量のある人材を探すことである。
給与条件や企業の知名度ではなく、
仕事の意味や会社の価値に共感して働きたいと考える人材を探す。
地方企業の採用では、この視点が非常に重要になる。
すべての求職者に選ばれる必要はない。
むしろ、会社の価値観に共感する人材に届く採用を設計することが重要になる。
人事担当者の入社理由
今回相談を受けた会社でも、興味深い話を聞くことができた。
人事を担当している方に、入社の経緯を聞いてみた。
すると、その方は最初からこの会社の社員だったわけではなかった。
もともとは別の会社に所属していたという。
最初は、この会社の仕事を
少し手伝う程度の関わりだった。
しかし関わっていくうちに、会社の仕事や取り組みに興味を持つようになった。
そしてあるとき、こう思ったという。
「もっとこの会社に深く関わりたい」
その思いから、最終的には転職を決断した。
給与や条件だけで考えれば、他にも選択肢はあったはずである。
それでもこの会社を選んだのは、
この会社の仕事や価値に共感したからだった。
つまり、この採用は
求人広告で生まれたものではない。
仕事への共感と熱量によって生まれた採用だった。
地方にも熱量の高い人材はいる
こうした人材は、決して特別な存在ではない。
地方にも、
・地域に関わる仕事がしたい
・意味のある仕事をしたい
・会社の成長に深く関わりたい
そう考える人は一定数いる。
ただ、その人たちに会社の存在が届いていないだけである。
多くの企業は、採用を考えるときに
「どうやって多くの人に見てもらうか」
という発想になりがちだ。
しかし地方企業の採用では、
必ずしもそれが最適とは限らない。
重要なのは、
誰に届けるのか
である。
会社の価値観に共感する人材。
仕事に意味を見出す人材。
地域で働くことに魅力を感じる人材。
そうした人たちに届く採用の仕組みを作ることができれば、
地方企業でも人材を集めることは十分に可能である。
地方企業の採用は、
給与や待遇の競争だけではない。
価値観と共感を軸にした採用こそが、
大きな可能性を持っていると私は考えている。
大学生インターンによる顧問形式での支援
手法ではなく、会社の価値を伝える
ここまでの話を踏まえると、ひとつの結論が見えてくる。
この会社が本当に考えるべきなのは、
SNSを運用することではない。
採用戦略そのものを設計することである。
SNSはあくまで手段のひとつにすぎない。
Instagramでも、YouTubeでも、採用広告でも、それはすべてツールである。
問題は、そのツールを使って
・誰に
・何を
・どのように伝えるのか
という設計ができているかどうかだ。
今回の会社の場合、重要なのは「地域に必要な仕事をしている会社である」という点だった。
地域社会を支える仕事。
社会にとって意味のある仕事。
そうした価値を言語化し、共感する人材に届けること。
この方向で採用戦略を設計するべきだと考えた。
顧問契約という形での採用支援
そこで提案したのが、単発の施策ではなく
顧問契約という形での採用支援だった。
採用というのは、短期間で結果が出るものではない。
一度広告を出して終わり、
SNSを始めて終わり、というものでもない。
会社の価値を整理し、
伝え方を設計し、
少しずつ改善を重ねていく。
そうしたプロセスが必要になる。
そのため、単発のコンサルティングではなく、
継続的に関わりながら採用戦略を作っていく形を提案した。
大学生インターンとともに戦略を設計する
具体的な支援の形としては、私(深作)がサポートしながら、
大学生インターンが中心となって採用戦略を設計する体制を取っている。
若い世代の視点は、採用において非常に重要になる。
求職者と近い感覚を持つ大学生が議論に参加することで、
企業側だけでは気づきにくい視点が生まれる。
私自身は、戦略の方向性を整理しながら支援を行う。
その上で、インターンの学生たちが中心となり、
・採用戦略の議論
・情報発信の企画
・採用導線の設計
といった部分を進めていく。
必要に応じて、実際の運用やマーケティングの実働も行う。
戦略だけを作って終わりではなく、
実際に動かしていくところまで支援する体制である。
私たち自身の採用も同じ方法で行っている
この考え方は、クライアントの採用支援だけでなく、
私たち自身の採用にも取り入れている。
札幌では、
長期インターンの募集
という形で採用を行っている。
単なるアルバイトではなく、
実際のプロジェクトに関わりながら働くインターンである。
この募集を通じて、
仕事への熱量が高い大学生が多く集まるようになった。
そして現在では、その大学生たちが中心となって
企業の求人支援プロジェクトを動かしている。
採用というのは、条件だけで決まるものではない。
会社の価値やビジョンに共感する人材は、
確実に存在する。
その人たちに届く採用の仕組みを作ることができれば、
地方企業でも人材を集めることは十分に可能である。
熱量のある大学生を採用した結果
実際に私たち自身も、
「熱量のある人材を集める」という考え方で
採用を行ってきた。
札幌では長期インターンという形で
大学生の採用を行っている。
そこで集まってくるのは
単にアルバイトを探している学生ではない。
企業の課題に関わりたい、起業したい、自分の力を試したい、
そうした意欲を持った学生が集まってくる。
ここからは、その大学生が中心となって
クライアント企業の求人支援プロジェクトを進めていく。
企業の課題を整理し、採用戦略を議論し、
実際の施策まで主体的に動かしていく。
学生とはいえ、仕事に対する当事者意識が強く、
プロジェクトは非常に活発に進んでいる。
仕事と遊びが自然につながる環境

また、こういった採用をしている恩恵は他にもある。
人間関係が「仕事」だけで終わらない点である。
企業の支援を進めながら、
私自身も大学生インターンと一緒にさまざまな場所へ出かけることがある。
例えば、空き家を活用した宿に泊まりがけで遊びに行き、
夜はバーベキューをしながら
仕事の話や将来の話をすることもある。
企業の支援を行いながら、
こうした時間を通じて互いの価値観を共有することができる。
熱量のある人材が集まると、
組織は単に業務を回す場ではなくなる。
仕事に主体的に関わる仲間が集まり、
自然とアイデアが生まれ、活動の幅も広がっていく。
結果として、企業支援の成果も着実に積み上がっていくのである。
中小企業の人材募集における株式会社株式会社エグゼクティブマーケティングジャパンの武器
地方企業の採用は、手法ではなく戦略で変わる
ここまで、ある地方企業の採用相談を例に話をしてきた。
この会社の社長が最初に考えていたのは、SNSを活用した採用だった。
Instagramや動画を使った情報発信を行い、求職者に会社を知ってもらうという方法である。
しかし、ヒアリングを進めていくと見えてきたのは、
SNSという手段以前に、採用戦略そのものが整理されていないという状況だった。
どのSNSを使うか。
どの会社に運用を依頼するか。
そうした話は出てくる。
しかし、
・どんな人材に来てほしいのか
・この会社の仕事にはどんな価値があるのか
・会社はどんな未来を目指しているのか
といった根本の部分は、まだ言語化されていなかった。
採用の問題は、多くの場合「手法の問題」として語られる。
SNSが良いのか。
求人広告が良いのか。
動画を作るべきなのか。
しかし実際には、採用がうまくいかない原因の多くはそこではない。
採用の戦略が整理されていないことが問題なのである。
地方企業の場合、資金力では大企業に勝てない。
給与や待遇の条件だけで競争するのも難しい。
それでも採用を成功させている企業は存在する。
そうした企業に共通しているのは、
会社の価値や仕事の意味を言語化し、共感する人材に届けていること
である。
地方企業の採用は、条件の競争ではない。
価値観と共感の採用である。
採用に悩む地方企業の経営者へ
人材採用に悩んでいる地方企業の経営者や人事責任者の方にとって、
採用は非常に難しいテーマだと思う。
求人広告を出しても応募が来ない。
SNSを始めてみたが反応がない。
採用のために何をすればいいのか分からない。
そうした声を、これまで多く聞いてきた。
しかし採用は、決して運や偶然で決まるものではない。
会社の価値を整理し、
どんな人材と働きたいのかを明確にし、
その人たちに届く形で発信を設計する。
そのプロセスを丁寧に行えば、
地方企業でも人材を集めることは十分に可能である。
私たちは、SNS運用や広告運用といった特定の手法だけを提供する会社ではない。
経営者のビジョンを深くヒアリングし、
その会社の価値を言語化し、
採用戦略そのものを設計していく。
そして必要に応じて、大学生インターンとともに実働の部分まで支援する。
採用は、人が会社に入る入口であると同時に、
会社の未来を形作る重要な経営テーマでもある。
もし、採用について悩んでいるのであれば、
まずは「どんな会社を目指しているのか」という話から聞かせてほしい。
そこから、その会社に合った採用戦略を一緒に作っていくことができる。