「IVRは高齢者に使えない」は本当か。電話自動化を止める前に経営者が見直すべき設計の問題

「IVRは高齢者には使えないのではないか」「自動音声にしたら余計にクレームが増えるのではないか」。このテーマで相談を受けるたびに、私はいつも同じことを感じます。問題は、高齢者が電話自動化に対応できないことではありません。多くの場合、使えないのは仕組みの側です。つまり、利用者に合わせて設計されていないIVRが、現場の負担と機会損失を増やしているだけです。

私はこれまで、EC、通販、店舗、各種法人の電話業務を見てきました。その中で強く感じるのは、電話対応を人に頼り続ける経営は、利益率をじわじわ削るという現実です。特に高齢者対応が多い業種では、「人が出ないと無理」という思い込みが強く、結果として採用、教育、離職、感情労働のコストが膨らみます。

しかし現実には、高齢者が困っているのは自動化そのものではなく、分かりにくい分岐、長すぎる案内、押し間違えたときのリカバリー不足です。ここを改善せずに「IVRは使えない」と結論づけるのは、経営判断として早すぎます。私はむしろ、高齢者対応が多い会社ほど、電話のDXは避けて通れないと考えています。

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IVRが高齢者に使えないと言われる本当の理由

従来型のIVRが高齢者に不向きだと言われるのには理由があります。多くの会社が導入しているIVRは、「1を押してください、2を押してください」という分岐型で、しかも選択肢が多い。さらに、音声案内が早く、言い回しも事務的で、聞き返しにくい。これでは年齢に関係なく使いにくいのですが、特に電話を道具としてシンプルに使ってきた世代ほど負担が大きくなります。

高齢者の利用が多い業種では、問い合わせ内容はむしろ定型化しています。予約、注文、配送確認、営業時間確認、キャンセル、よくある質問。この程度の用件であれば、本来は人が一件ずつ張り付く必要はありません。にもかかわらず、分かりにくいIVRを入れて失敗し、「やはり人で受けるしかない」と戻してしまう会社が多い。私はここに、大きな誤解があると見ています。

重要なのは、高齢者に合わせた導線にすることです。選択肢を減らす。言葉を平易にする。途中で聞き直せる。オペレーターにつなぐ逃げ道も残す。この設計思想がないまま導入したIVRは、確かに使われません。しかしそれは、高齢者が使えないのではなく、設計者が現場を理解していないだけです。

経営者が見るべきなのは、「使えるか使えないか」という感覚論ではありません。1件あたり何分の対応が発生しているのか、ピーク時間帯に何件取りこぼしているのか、営業時間外の着信をどれだけ失っているのかです。ここを数字で見れば、電話業務の見直しは感想ではなく、投資判断になります。

人を増やしても外注しても根本解決にならない理由

電話が取り切れない、しかも高齢者対応が多い。そうなると、多くの会社はまず採用を考えます。あるいはコールセンターへの外注です。しかし私は、自社でも関与法人でも、この発想で利益率が良くなったケースをほとんど見ていません。

理由は単純です。電話は同時対応ができません。1人が1件しか受けられない構造だからです。仮に時給1,300円のスタッフを雇い、社会保険や教育、管理コストまで含めて実質時給が1,800円になったとします。1件5分の電話を1日60件受ければ、それだけで300分、つまり5時間です。月間で見れば相当な人件費になります。しかも、混雑する時間帯に着信が重なれば、結局取りこぼします。

外注も同じです。一次受けはできても、業務知識の深い質問や感情的な問い合わせになると、社内へ再転送が発生します。つまり、コストを払っても社内負担が消えない。さらに、高齢者対応では「結局よく分からないから担当者に代わってほしい」となりやすく、たらい回しの不満が蓄積します。これでは顧客満足も現場の精神的コストも改善しません。

私は、電話業務の問題を人員で埋める考え方自体が限界に来ていると思っています。採用市場は厳しく、教育しても定着しない。電話対応が得意な人ほど疲弊し、辞める。残った人に負荷が寄る。この循環を止めるには、人を足すのではなく、人がやらなくていい部分を仕組みに置き換えるしかありません。

特に高齢者対応が多い現場ほど、聞き取りやすさ、案内の丁寧さ、受付の確実性が重要です。だからこそ、単純なIVRではなく、対話設計まで含めた電話自動化が必要になります。

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高齢者対応が多い会社ほどSmartCall(スマートコール)が向いている理由

ここで私が提案しているのが、SmartCall(スマートコール)です。SmartCall(スマートコール)は、従来の押し番号中心のIVRとは発想が違います。電話をただ機械化するのではなく、受注、予約、キャンセル、FAQ対応、一次受付、営業時間外の受付までを、現場運用に合わせて設計できるのが強みです。

高齢者対応で重要なのは、複雑さをなくすことです。スマートコールなら、問い合わせ内容を最小限の導線で整理し、必要な内容だけを確実に受け取り、人が出るべき案件だけを絞り込めます。これによって、すべての電話を自動化するのではなく、すべての電話を最適に振り分けることができます。私はこの考え方が、現場では最も実用的だと考えています。

実際、自社や関与法人でも、電話が鳴るたびに人が仕事を止める状態から、受付を仕組み化することで、売上に直結する業務へ集中できるようになりました。電話は見えない固定費です。受けている側は忙しいのに、経営数値では埋もれやすい。しかし、1日何十件も発生する確認電話、単純な質問、営業時間外の折り返し案件を仕組みに置き換えるだけで、人件費だけでなく、集中力の分断まで減ります。

高齢者が多いから人でないと無理、というのは半分正しくて半分間違いです。本当に人が必要なのは、説明や安心感が必要な一部の場面だけです。それ以外まで全部人が受けているから、現場が詰むのです。SmartCallは、その線引きを経営的に実行できる仕組みです。

月数万円で、なぜ費用対効果が合うのか

電話スタッフを1人増やすより、スマートコールを導入したほうが安い。この比較は、今や珍しい話ではありません。人を1人雇えば、給与だけでなく、採用費、教育時間、管理工数、離職リスクが乗ります。一方で、電話自動化は月数万円から始められ、24時間365日受付でき、同時着信にも対応できます。この差は大きいです。

しかも高齢者対応が多い業種では、営業時間外の電話を取り逃す損失が想像以上に大きい。本人は翌日にもう一度かけてくれるとは限りません。家族に相談して他社に流れることもあります。人が出られない時間帯の機会損失を減らせるだけでも、導入の意味は十分あります。

IVRをやめるべきではなく、使われる電話導線へ作り直すべき

私は「IVRは高齢者に使えない」という言葉を聞くたびに、やめるべきなのは自動化ではなく、古い設計だと思っています。電話対応を残したまま人を増やす経営は、今後さらに苦しくなります。人件費は上がり、採用は難しくなり、教育しても属人化は消えません。

だからこそ、経営者は発想を変えるべきです。高齢者に優しい設計とは、結局のところ誰にとっても分かりやすい設計です。分岐を減らし、案内を明確にし、必要なときだけ人が出る。この形に変えれば、現場負担も顧客の不満も同時に減らせます。

特に、次のような会社は早めに見直したほうがいいと私は考えています。

  • 高齢者からの電話問い合わせが多い
  • 予約、注文、変更、確認の電話が日常的に発生している
  • 営業時間外の着信を取りこぼしている
  • 電話のたびに現場の作業が止まっている
  • 採用しても電話対応人材が定着しない

電話は昔からある業務ですが、今は最も利益率を落としやすい業務の一つです。しかも厄介なのは、慣れてしまうと損失として認識されにくいことです。私は、電話対応に限界を感じている会社ほど、今が見直しのタイミングだと思っています。

結論として、IVRが高齢者に使えないのではありません。使えない設計のまま放置されているだけです。そしてその問題は、SmartCallでDX化できます。人がやるべき電話と、人がやらなくていい電話を分ける。この判断を先延ばしにしない会社ほど、利益率も現場の安定性も改善していきます。

高齢者対応が多いからこそ、電話自動化を諦めるのではなく、使われる仕組みに変えるべきです。私は、すべての電話対応はスマートコールでDX化できると考えています。少なくとも、いま人が疲弊しながら受け続けている電話の大半は、もう仕組みに置き換えられる段階に来ています。

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深作浩一郎(Fukasaku Koichiro) 株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン代表取締役。ビジネス書著者。 マーケティングとAIを軸に、再現可能な成功モデルを社会に実装し続ける実務家。 地域再生、空き家・古民家活用、中小企業マーケティング、起業家育成、AI・DX領域を横断し、構想・設計・実装までを一貫して手がけている。 2014年の法人設立以降、起業家や中小企業に対するコンサルティングや事業支援を多数実施。 コンテンツビジネスやオンラインビジネスの構築、複合型マーケティング戦略の立案を得意とし、クライアントの持続的な事業成長を支援してきた。 また、若手起業家や学生の育成にも力を入れており、地域の大学生を経営者として抜擢し会社経営を任せるなど、実践型の起業教育を推進。 北海道を中心に展開している実践型インターンシップは、地域でも屈指の規模と実績を持つ人材育成プログラムとして知られている。 教育や支援の分野では「自走できる事業者を生み出すこと」を重視し、成功した施策のみを構造化して他地域・他事業へ移植可能な「再現モデル」として提供。 成功を個人の才能や偶然に依存させるのではなく、仕組みとして社会に残すことを理念としている。 現在は全国各地で空き家・古民家の再生プロジェクトを推進し、高付加価値な宿泊施設や地域ブランドとして成立させる取り組みを展開。 あわせて、検索・AI時代に対応したマーケティング導線の設計や、AIを組み込んだ自走型事業モデルの開発にも取り組んでいる。 2019年にはオンライン専業の販売代理店制度を構築し、300以上の代理店が加盟。 起業やマーケティングに関するビジネス書を出版し、いずれもAmazonランキング1位を獲得。 また、自社AIツールの開発による業務効率化とマーケティングの自動化にも取り組み、鮨深作などの経営者・起業家むけイベントの開催をはじめ「楽しさのお裾分け」をテーマとした経営者向けメールマガジンは1万人以上が購読している。

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