ファクタリングを検討する際に最初に出てくる疑問が「2社間と3社間のどちらを選ぶべきか」です。
この選択は手数料と取引先への通知という2つの要素のトレードオフであり、自社の状況によって最適な方式が変わります。
この記事では、2社間と3社間の仕組みの違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてどちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社の2者間で契約を行う方式です。売掛先(取引先)にファクタリングの利用は通知しません。
取引の流れは以下の通りです。利用企業がファクタリング会社に売掛金の買取を申込みます。ファクタリング会社が審査を行い、買取金額と手数料を提示します。合意すれば、手数料を差し引いた金額が利用企業に振り込まれます。入金期日が来たら、売掛先から利用企業に通常通り入金されます。利用企業はその入金をファクタリング会社に送金します。
ポイントは、売掛先は通常通り利用企業に支払いを行うため、ファクタリングの利用を知ることはないという点です。
3社間ファクタリングとは
3社間ファクタリングは、利用企業、ファクタリング会社、売掛先の3者間で契約を行う方式です。売掛先にファクタリングの利用が通知され、売掛先の承諾が必要です。
取引の流れは以下の通りです。利用企業がファクタリング会社に売掛金の買取を申込みます。ファクタリング会社が売掛先に対して債権譲渡の通知を行い、承諾を得ます。審査の上、手数料を差し引いた金額が利用企業に振り込まれます。入金期日が来たら、売掛先はファクタリング会社に直接支払いを行います。
ポイントは、売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、ファクタリング会社の回収リスクが低い。その結果、手数料が安く設定されるという点です。
2社間と3社間の比較
手数料について。2社間は5〜18%が相場、3社間は1〜9%が相場です。同じ売掛金でも手数料に数倍の差が出ます。これが最大の違いです。
入金スピードについて。2社間は最短即日〜数日、3社間は1〜2週間程度かかるケースが多い。3社間では売掛先の承諾手続きが必要なため、その分時間がかかります。
売掛先への通知について。2社間は通知なし、3社間は通知あり(承諾必要)。取引先に資金繰り状況を知られたくない場合は2社間を選択する必要があります。
審査の通りやすさについて。3社間の方が審査に通りやすい傾向があります。ファクタリング会社にとって回収リスクが低いためです。
2社間ファクタリングのメリット・デメリット
メリットは3つあります。売掛先にファクタリングの利用を知られないこと。取引先との信頼関係に影響を与えずに資金調達できます。入金スピードが速いこと。最短即日で現金化できるため、急な資金ニーズに対応できます。手続きが簡単なこと。売掛先の承諾が不要なため、自社とファクタリング会社の間だけで手続きが完了します。
デメリットは2つあります。手数料が高いこと。ファクタリング会社は利用企業から入金を受け取るため、回収リスク(利用企業が入金を行わないリスク)が高い。そのリスク分が手数料に上乗せされます。債権譲渡登記を求められるケースがあること。ファクタリング会社が自社の権利を保全するために、法務局に債権譲渡の登記を行うケースがあります。登記費用(数万円程度)が発生する場合があります。
3社間ファクタリングのメリット・デメリット
メリットは2つあります。手数料が安いこと。2社間の半分以下になるケースが多く、100万円の売掛金であれば手数料の差額は数万円〜10万円以上になります。審査に通りやすいこと。売掛先から直接回収できるため、ファクタリング会社のリスクが低く、審査基準が緩くなります。
デメリットは2つあります。売掛先にファクタリングの利用を知られること。「この会社は資金繰りに困っているのか」と取引先に思われるリスクがあります。取引関係に影響する可能性を考慮する必要があります。入金までの時間がかかること。売掛先の承諾手続きに時間がかかるため、即日入金は基本的に不可能です。1〜2週間程度を見込む必要があります。
どちらを選ぶべきか(判断基準)
2社間を選ぶべきケースは以下の通りです。取引先にファクタリングの利用を知られたくない場合。今日〜数日以内に資金が必要な場合。手数料よりもスピードと秘密保持を優先する場合。
3社間を選ぶべきケースは以下の通りです。手数料を最小限に抑えたい場合。取引先がファクタリングの利用に理解がある場合。資金が必要なタイミングまで1〜2週間以上の余裕がある場合。官公庁や大手企業が売掛先であり、3社間の手続きに対応してもらえる場合。
実務上は、最初は2社間で利用を開始し、取引先との関係性を見ながら3社間への切り替えを検討するのが現実的です。取引先が大手企業や官公庁であれば、3社間のほうが手数料を大幅に節約できます。
2社間と3社間を組み合わせる方法
複数の売掛金を保有している場合、売掛先ごとに2社間と3社間を使い分けることも可能です。
例えば、メイン取引先(大手企業)への売掛金は3社間ファクタリングで低手数料で現金化し、新規取引先への売掛金は2社間ファクタリングで取引関係に影響を与えずに現金化する。このように組み合わせることで、手数料の最適化と秘密保持の両立が可能です。